低ノイズ、ドリフトフリーのピエゾアンプ
ピエゾアクチュエータに特徴的な性質として、発生力が大きく応答性の高いことが挙げられます。電気的な観点では、ピエゾ素子はキャパシタに対応します。動作電圧が急速に変化することでアクチュエータが急速に変位し、位置が変化します。制御電圧が急激に増加すれば、ピエゾアクチュエータはわずか数マイクロ秒間に微小な変位を行うことができます。このための前提条件は、電源からキャパシタの充電に十分な電力が供給されることです。圧電アクチュエータはわずかな電圧の変化にも反応してモーションを起こすため、特定の位置を保持する定常的な動作では、電源の安定性が極めて重要です。このため、ノイズやドリフトはできる限り防止しなければなりません。
フライス盤や裁断機での材料加工やツール調整時のメカニカルエンジニアリングなど、負荷サイクルの大きい用途が存在します。こうした用途に採用されるアクチュエータは高い発生力とダイナミクスで動作し、また一般に高い電気容量を備えています。アクチュエータの制御では、アンプのエネルギー消費量が問題となります。弊社では、制御信号のパルス幅変調()によりピエゾ電圧を制御する スイッチングアンプ用電子回路PWMを提供しています。これにより、極めて高い効率が得られます。さらに、特許取得済みの エネルギー回復 用の電気回路も組み込んでいます。ピエゾアクチュエータの放電時には回収したエネルギーの一部が蓄電装置に貯蔵され、次回の充電時に再利用されます。これにより、 最大80 % のエネルギー節約を実現しています。
従来のクラスDスイッチングアンプと異なり、弊社のピエゾ素子用スイッチングアンプは電流および電圧制御式です。特許取得済みのシステムにより、アクティブ制振の用途にも最適となっています。この場合、現在必要とされるダイナミックレンジへの適合が重要となります。
電荷制御は、電圧ではなく電荷を印加した場合ピエゾアクチュエータの変位の線形性が増すという原理に基づいています。電圧制御を用いた場合のヒステリシスが10~15 %であるのに比べ、電荷制御の場合のヒステリシスはわずか2 %程度です。
このため、多くの場合、電荷制御を用いることでサーボループがなくても目的の精度を達成できます。これによりダイナミクスが強化され、コストを抑えられます。電荷制御は、非常に動的な用途だけでなく、動作周波数が非常に低い場合にも有用です。
ピエゾアクチュエータの位置のドリフトは調節されないため、長期間にわたり位置を維持する必要のあるタスクでは、電荷制御は位置制御操作の代わりにはなりません。
クローズドループ位置制御では、目標位置をセンサーで測定した位置(実値)と比較して、 ヒステリシスやドリフトなどのピエゾアクチュエータの非線形特性を自動で補正します。
位置制御は、ピエゾ動作専用に最適化された比例積分制御ループに基づいています。1つ以上の調節可能なノッチフィルターにより、システムの安定性に影響性が及ぶ前にシステム固有の共振によるフリンジ効果を抑制するため、使用可能な帯域幅およびダイナミクスが著しく向上しています。
最適化した制御アルゴリズム により整定時間が最小限に抑えられているため、弊社のクローズドループピエゾポジショニングシステムではサブナノメートル台の再現性と10 kHzまでの帯域幅を実現しています。