従来のガイドシステムと力の伝達

リードネジでは、非常に高い分解能と非常にスムーズなモーションを実現できます。リードネジは、モーター駆動式のネジと、ステージのソリに結合されたナットで構成されています。このナットにスプリングでプリロードをかけることで、バックラッシュを抑えられます。このネジは循環ボールネジに比べ摩擦が大きいためセルフロック式となっていますが、一方でこの摩擦が速度、モーター出力、寿命に影響を及ぼします。典型的なリードネジのピッチは1回転あたり0.4～0.5 mmであり、より長いトラベルレンジでは1回転あたり1 mmとなります。

循環ボールネジでは、摩擦がすべり摩擦からはるかに小さい回転摩擦となっているため、リードネジに比べ摩擦が著しく小さくなっています。循環ボールネジは、モーター駆動式のネジと、ステージのソリに結合されたナットで構成されています。ボールは閉回路内で、ナット(ボールケース)と駆動ネジ間に配置されています。ボールとネジの直径比率を適切に選択することで、バックラッシュを最小限に抑えられます。循環ボールネジはセルフロック式ではありませんが非常に効率が高く、連続して使用した場合も高い速度と長寿命を発揮します。弊社では、1回転あたり0.5、1、または2 mmのピッチを採用しています。

ネジ式スピンドルドライブでは、回転素子としてボールではなくローラーを使用しています。これにより、ペイロードと速度が増大しており、また非常に長い寿命が得られます。

ボールは真鍮製ケージの中で運動し、強化精密ガイド軸に対してプリロードが掛けられています。バックラッシュをゼロにして摩擦を抑えるには、ガイドとベアリング間の公差が厳密である必要があります。負荷容量は小さくなっています。

クロスローラーベアリングでは、ボールベアリングのボールの点接触が、強化ローラーの線接触に置き換えられています。これにより剛性が著しく増しており、また必要なプリロードが抑えられているため摩擦が低減されており、スムーズな動作が可能となっています。また、クロスローラーベアリングには、ガイド精度が高く負荷容量が大きいという特徴もあります。回転体ケージを永続的にガイドするため、ローラーベアリングの移動は防止されます。

高精度ステージには、精密な複線レールが搭載されています。精密な組み立てを行うことにより、これらのベアリングは優れた負荷容量、寿命、ガイド精度が得られ、メンテナンスの手間も抑えられています。ステージの移動部分は、2つのガイドレール上を動き、プリロードが掛けられた4つのリニアボールベアリングユニットで支持されます。各ベアリングユニットは、複数の循環ボールベアリングを2列に独立的に並べて構成されています。また、ケージが移動するという、短い範囲を繰り返しスキャンした場合に支障となるクロスローラーベアリングの問題も生じません。

リニアエアベアリングステージは移動の真直度および平坦度が非常に優れており、ピッチング、回転、ヨーイングの誤差はそれぞれ100ナノメートル台および10サブ秒角台となっています。回転ステージのチルト(ウォブル)誤差は1秒角未満です。さらに、エアベアリングは角度方向の動作の再現性も非常に優れています。これにより、光学機器検査、半導体検査、医療機器製造などの用途に最適な部品の品質と測定の信頼性を確保しています。