ダイナミックデジタル線形化
また、ダイナミックデジタル線形化(DDL)により、モーション中に繰り返される周期軌道からのずれを抑えています。
これは、指定位置を特定した後に高い精度で到達する必要のあるスキャン用途や、軌道に沿ってステップ処理を行う必要のある用途に重要です。
コントローラーおよびサーボ技術
サーボループの役目は、実位置と目標位置とのずれを補正することです。この補正は、ノッチフィルターを搭載した比例積分コントローラーで行うのが一般的です。ただし、用途によっては、線形化アルゴリズムを組み合わせた別の手法の方が良い結果を得られる場合があります。デジタルフィルターでは、不要な機械的励起を防止してノイズを抑えることで、システムの分解能を高めることができます。
状態空間制御
ナノポジショニングシステムには、アドバンスドピエゾコントロールという別の制御の概念があります。この概念のベースは、位置決めシステムのモデルに基づく状態空間コントローラーです。ノッチフィルターを搭載し、励起スペクトルから機械的共振を削除する従来の比例積分微分(PID)コントローラーとは対照的に、アドバンスドピエゾコントロールでは共振周波数を減衰させます。このため整定時間が短縮され、外部からの干渉の影響を受けにくくなっています。1つもしくは2つのノッチフィルターで減衰を行う場合に比べ、位相忠実度は大きく向上しています。これは、経路忠実性と整定挙動に直接的な効果をもたらしています。
機械システムで近接する共振が多数存在する場合、または減衰させる共振周波数が1 kHz以上の場合、この形態では、従来のPIDコントローラーに対する状態コントローラーの利点はなくなります。用途についてご相談ください。
プラグアンドプレイ:IDチップ
IDチップにステージの関連データが格納されるため、同チップをサポートするモーションコントローラーの構成を迅速に行うことができます。ドライブの種類に応じて、読み出されるデータはステージの種類から、個別の動作パラメーターにまで及びます。ピエゾベースのポジショニングシステムの場合、動作パラメーターを個別に比較することで最適な結果が得られます。これらのパラメーターは、各ステージによって異なります。
デジタルエレクトロニクスをチューニングすると、それらのパラメーターはステージのIDチップに保存されます。このため、別のデジタルコントローラーでも、新たにカスタマイズを行うことなく自動で操作に再利用することができます。このステージとコントローラーの互換性により、システムの使用の柔軟性が大きく高められています。