応用事例
アクティブシムは、2つのアセンブリー間の隙間が重要であるためにドリフトや公差の変化に応じて再調節する必要がある、あらゆる用途で使用できます。特に、環境条件やアクセス性が原因で手動操作が煩雑になっている場合には、PIRestアクチュエータが最適です。
- マシンの品質認定および較正
- お客様の現場へのマシンの初回設置
- 温度ドリフトが原因の再調整
- コンポーネントの寸法の変化による再調整、など
このアクチュエータはわずか数ナノメートルの高い分解能を有しているため、従来のメカニカルエンジニアリングだけでなく、天文分野の光学部品のアライメント、シンクロトロンでの材料研究、半導体製造などにも使用されています。
一貫して安定したギャップをアクティブに調節できるまったく新しいピエゾテクノロジー
マシンに含まれる2つのコンポーネント間の目標隙間または実隙間が変化すると、これらの隙間の調節が必要になる場合があります。
必要な隙間に合わせて厳密に研磨されている従来の平ワッシャーのデメリットは、機械的に挿入しなければならないということです。そのような平ワッシャーは必要な精度で調節できない場合があり、また事前定義された隙間は変えることができません。
ピエゾベースのPIRestアクティブシムの場合にはそのようなデメリットはなく、1回挿入するだけで2つのコンポーネント間の隙間をアクティブに調節できます。
従来のピエゾセラミックアクチュエータでは、そのような用途に対応できません。変位が必要な限りアクチュエータの電圧(オフセット電圧)を維持しなければならず、アクチュエータおよびマシンの機材の寿命にとって大きなデメリットとなります。また、安定した電源が追加で必要になります。
PIRestテクノロジーのベースはピエゾアクチュエータですが、オフセット電圧を印加しなくても、調節後にナノメートルの精度で安定した変位を維持できます。
簡単に使用可能
簡単に使用可能
アクティブシムは、初回作成の段階でマシンに合わせて設計されます。プレートやリング、さらには静的な調節だけでなくアクティブな振動補償やその他のモーションをナノメートルの精度で行う複雑なハイブリッド駆動部品として、実質的にあらゆる形状とサイズで製造可能であり、ほぼすべての場所に統合できます。
このアクティブシムには静的な隙間を再調節するために電圧接続部が設けられていますが、この接続部を電圧源に接続する必要があるのは各調節プロセス時のみです。PI社では、この調節プロセスの設定を非常に簡単に行うことができる携帯電源を提供しています。
これにより、必要なすべてのケーブルをマシンの設計時に考慮して、システム内で恒久的にケーブルを配線できるため、近づきにくい場所での調節が簡略化されます。
長期安定性
長期安定性
PI社でのテストにより、PIRestアクチュエータの変位安定性は環境温度の変化のみに影響を受けることが実証されています。公称調節範囲が10 µmであるアクチュエータを用いた長期試験では、温度の変位が1 K以下である温度が安定した環境での位置ドリフトが±100 nm未満であることが示されています。
多様な成形による柔軟性
多様な成形による柔軟性
多様な長さとフォームファクター
変位は、アクチュエータの長さによって決まります。標準では、最大変位が10 μmの単純な6軸アクチュエータをご用意しています。大まかに言って、PIRestテクノロジー製品は、多層ピエゾアクチュエータのPICMAシリーズの製品ポートフォリオで利用可能なすべてのフォームファクターで製造可能です。
ハイブリッドアクチュエータ
ハイブリッドアクチュエータ
ハイブリッドアクチュエータは、従来のピエゾアクチュエータとPIRestピエゾアクチュエータで構成されています。上述のようにPIRestアクチュエータは恒久的に位置を補正しますが、同時に従来のアクチュエータで行う動的モーションの基準としても使用できます。このため、数十ヘルツの振動の動的補償、測定または走査プロセス中の焦点面の再調節、計測技術や材料加工におけるレーザービームの制御を行うことができます。